松葉ヶ谷雁信

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成道会

皆様おはようございます 

来週の日曜日 12月7日は 午前9時から当ハワイ日蓮宗別院においてハワイ仏教連盟主催の成道会が行われます 成道会とは お釈迦様が悟りを開かれたことをお祝いする法要です 言い換えれば 仏教の誕生日であります 大切な日ですので 是非お参りして下さい お待ちしています

大切な日ではありますが 伝統的に日蓮宗ではそれほど重視してきませんでした 日蓮宗では 聖日として10日を指定しています どのような日かわかりますか?年頭から挙げていきます まず1番目は2月15日 この日は何の日かわかりますか?この日はお釈迦様が亡くなられた日です 2番目は 翌2月16日 この日は私たちの宗祖日蓮聖人がお生まれになった日です 1222年のことです 3番目は4月8日 この日はお釈迦様がお生まれになった日です 4番目は 4月28日 この日は日蓮聖人が初めてお題目をお唱えになった日です ですから日蓮宗ではこの日をもって日蓮宗誕生の日としています 5番目は 5月12日の伊豆法難会です 幕府により1261年のこの日に捕えられ 無実の罪で伊豆へ流罪となりました 6番目は 8月27日の松葉谷法難会 1260年に立正安国論を提出した日蓮聖人を良く思わなかった他宗の僧俗が庵を襲撃した事件で 九死に一生を得た日蓮聖人は鎌倉を離れ しばらく信徒の下に身を寄せました 翌年鎌倉に戻った日蓮聖人に起きたのが 先ほどの伊豆流罪です 7番目は 9月12日 龍口法難会です 1271年 再び幕府に捕えられた日蓮聖人は 龍口の刑場で首を切られそうになります 絶体絶命の危機を辛くも逃れることができました 8番目は 10月10日の佐渡法難会です 龍口の後 日蓮聖人は佐渡島へ流罪となりました 当時佐渡島への流罪は 実質的な死刑でした 9番目は 10月13日の宗祖お会式です 1282年のこの日 日蓮聖人は現在の東京で亡くなられました 最後の10番目は 11月11日の小松原法難会です 1264年伊豆流罪から放免された日蓮聖人は 母親の病気のこともあり故郷に帰ります そこで 日蓮聖人を憎む人たちから襲撃され 弟子信徒を殺され 自分も深い傷を負います この時に額に残った傷が痛むといけないと冬場日蓮宗のお寺では日蓮聖人のお像に綿をかけます ここハワイでは綿ではさすがに暑過ぎるので ご覧の通り 代わりに頭巾をかけています 言い方を換えれば お釈迦様は 誕生日と亡くなられた日が聖日となっています 日蓮聖人は誕生日と亡くなられた日の他に 初めてお題目をお唱えさえれた日と法難に遭われた日が聖日となっています 10の聖日の内 お釈迦様に関するものが2つ 残りはすべて日蓮聖人に関するものとなっています

日蓮宗は仏教の正統派なのに その聖日があまりに日蓮聖人側に傾いていると思われるかもしれません 私もそうだと思います 少なくとも 成道会も聖日に指定すべきだと思います 何故成道会を指定していないのでしょうか?お釈迦様をないがしろにしているのでしょうか?日蓮宗の本部が怠慢をしているのでしょうか?

これにはきちんとした理由があります お手元の法華経を開いて下さい 246ページで 第3段落です そこにこのように説かれています 「自我得佛来 所経諸劫数 無量百千万 億載阿僧祇 常説法教化 無数億衆生 令入於佛道 爾来無量劫」つまり私たちは お釈迦様は宮殿を出て出家し そして悟りを得て仏様となられたと思っているけれども それは違うといわれているのです  本当は計り知れない昔に悟りを開かれ それからずっと人々を助けけてきたのだと そのことはこのお経の冒頭にもっとはっきりと説かれています ということは 今から2500年ほど前に菩提樹の下で悟りを開かれたのではないということになります このような仏様を久遠実成の仏様といいます 法華経においては この久遠実成の仏様こそが本当の仏様で 私たちが信仰すべきお方であると説いているのです そのため この世において2500年ほど前に悟りを開かれたことをお祝いする成道会は 相対的に重要度が下がり 日蓮宗の聖日から外れることとなったのです

では 日蓮宗として無視していいのかということではないと私は考えます この世にお釈迦様がお生まれになり 悟りを開かれたことにより 過去の記憶を取り戻されたと私は解釈しています ということは 歴史上のお釈迦様なくして 永遠の存在である仏様を知ることは不可能であったということです その意味で 私たち日蓮宗の信徒にとっても重要と言えます 他の仏教徒と共通する大切な日であることに変わりはありません 来週の日曜日にこのお寺で開催の予定です 共にお祝いをしたいと思います どうぞお参りください

2014年11月30日